My Way Home 和訳・解説
Kanye West(カニエ・ウェスト) / Late Registration(2005) feat. Common
この曲はKanyeが同時進行でプロデュースしていたCommonのアルバム『Be』(2005)のために録音されたが、アルバムの雰囲気に合わないとして収録を外れ、Late Registrationのインタールードとして使用された。Kanyeはヴォーカルを一切取らず、Commonのヴァース1本とGil Scott-Heron(ギル・スコット・ヘロン)のサンプルだけで構成された珍しいトラック。
My Way Home のサンプル元(元ネタ)
- Gil Scott-Heron「Home Is Where The Hatred Is」
各サンプルの試聴・使用箇所(登場秒)・解説はNERD(有料会員)限定です。
[Intro]
Yeah
イェー
Yeah
イェー
I'm on my way home
家に向かっている。
[Verse: Common]
CommonはシカゴのサウスサイドKanyeと同郷のMC。この時期KanyeはCommonの『Be』(2005)をプロデュースするなど密接に協力していた。
They say home is where the hate is
故郷は憎しみのある場所だと言う。
「Home is where the heart is(家は心の在り処)」ということわざを逆にしたGil Scott-Heron原曲のタイトルそのままの引用。
My dome is where fate is
俺の頭の中に運命がある。
domeは頭・精神のスラング。
I stroll where souls get lost like Vegas
魂がラスベガスのように迷子になる場所をぶらつく。
Seen through the eyes of rebel glasses
反逆者の眼鏡を通して見ると。
Pray to God that my arms reach the masses
神に祈る、俺の腕が大衆に届くよう。
The young smoke grasping graspless jungles
若者たちはタバコを吸いながら、掴めないジャングルを掴もうとしている。
graspless junglesは都市の貧困地区の比喩。どこにも掴まる場所がない、足場のない環境。
Rubberband together in cashless bundles
現金なしの束をゴムバンドでまとめて。
ゴムバンドは本来お金の束をまとめるために使うもの。貧困の中でも連帯している若者たちの姿。
We wear struggling chains
俺たちは苦労の鎖を身につけている。
chainはヒップホップカルチャーのジュエリー(ゴールドチェーン)と奴隷制度の鎖、両方の意味を掛けている。
Divided only hustle remains
分断された状態では、ハッスルだけが残る。
Making sense of it we hustle for change
それに意味を見出して、俺たちはチェンジのためにハッスルする。
changeはコイン(小銭)と社会変革のダブルミーニング。
Revolution ain't a game
革命はゲームじゃない。
It's another name
それは別の名前だ、
For life fighting
命をかけて戦うことの。
Someone to stay in they corner like Mike Tyson
マイク・タイソンのように自分のコーナーに立ち続けられる誰かが必要だ。
ボクシングの試合では選手をコーナーで支えるトレーナー・セコンドがいる。Mike Tysonは1990年代に相次ぐ法的問題で失墜した。
Hypes fighting for hits to heighten they hell
ヤク中たちが自分の地獄を高めるためにヒットを求めて戦っている。
hypesはヘロイン中毒者のスラング。hitはドラッグの一回分。
Don't he know he only get as high as he fell
落ちた分しか高くなれないことを、あいつは知らないのか。
Show money becomes bail
ショーのギャラが保釈金になる。
Relationships become jail
関係性が牢獄になる。
Children are unheld
子供たちは抱きしめられない。
I wish love was for sale
愛が売り物だったら良かったのに。
Behold the pale
青白い馬を見よ。
聖書「ヨハネの黙示録」第6章に登場する四騎士の一人、死を象徴する「青白い馬(Pale Horse)」への言及。
Horse got me trapped like r. Kel', I bail and it—
その馬に、R・ケリーみたいに罠にはまって、俺は逃げ出して、それで——
「Trapped in the Closet」(2005)はR. Kellyのソープオペラ形式の楽曲シリーズ。R. Kellyはシカゴ出身で、この時期に性的スキャンダルと法的問題が相次いでいた(後に実刑判決)。
[Hook: Gil Scott-Heron sample]
Gil Scott-Heron(1949–2011)の1971年の楽曲「Home Is Where The Hatred Is」のサンプル。ポエトリー・リーディングとジャズ・ソウルを融合させた表現で知られ、「ヒップホップの祖父」とも呼ばれる。
Might not be such a bad idea if I never, never went home again
二度と家に帰らないというのも、そんなに悪いアイデアじゃないかもしれない。
I'm on my way home
家に向かっている。
I left three days ago
3日前に出発した。
But no one seems to know I'm gone
でも誰も俺がいなくなったことに気づいていないようだ。
Home is where the hatred is
家は憎しみのある場所だ。
Home is filled with pain and it
家は痛みに満ちていて、それで——
Might not be such a bad idea if I never
二度と家に帰らないというのも
Never went home again
そんなに悪いアイデアじゃないかもしれない。